近くて遠い

おかしいおかしいハードハードハードボイルドを自称して止まないこの私なのにやたらと近い。最近おしっこがだだ近い。平均したら一時間半に一回はトイレに赴いている。マスター、甘いウソで作ったとびきりのカクテルを彼女に。くらいは平気で言える私が頻尿ではしめしがつかないではないか。北方謙三に。バーテンさんがシェイカーを振る間に膀胱のししおどしカターン、うぐいすピヨピヨ。これでは格好が悪過ぎる。


季節柄をさっ引いてもこの頻度は例年に比べ明らかに異常だ。昼。長引く喉カゼ→喉の痛み→体が口渇と勘違い→ドトールでコーヒー飲みまくりながらクエバン→水分にカフェインの相乗効果→頻尿。夜。長引く喉カゼ→喉の痛み→体が口渇と勘違い→ビールや焼酎を飲みながらクエバン→水分にアルコールの相乗効果→頻尿。なる二大カスケードが想定されるわけだが、つまり風邪が治らないといつまでも失われた私のハードボイルドを回復できず、切に健康を求め願う次第だ。


ただここで問題は、健康になりたいという願いがからっきしハードではないというか。道端の空き缶拾うのも俺的にはすげえヒップホップだと思うんすよ。みたいな「すわり」の悪さを感じずにはいられないのだ。何かが違う。健康指向、それでは固茹でに遥か届かない。
渋いレイヴァンと「−2●-●7−」みたいなサングラス級に隔たりがある。
しかしやはり健康になりたい。私は健康になりたい。なぜって不健康すなわち頻尿ではハードボイルドは勤まらないではないか。だが健康になり尿を遠ざけんとすれば空き缶がヒップホップだからハードボイルドまでもが遠ざかる。健全なる肉体に健全なるハードボイルドは宿らないのだ。うーむハードボイルド、退くも退かぬも修羅の道である。


さて、そろそろトイレ行って寝るか。お休みなさい。