おちおちジャンプも読めない

トイレ文庫を愛してやまない、いっそ世の中のトイレ・非トイレの割合がひっくり返って世界中がトイレになればどれだけくつろげることだろう。と日々空想にふける私ですから、便座に腰かけ静謐に流れる時間のなか、恋にも似てみたされた感情、お気に入りの書籍をぱらりぱらりとめくるよろこびこそが明日への原動力。そう言っても過言ではありません。読書に夢中になるあまりお尻が乾くこともありますし、長時間のぱらりぱらりが私のせんさいな腹部を冷やしそのままお腹を下したこともあります。トイレのせいで下痢になれるとは、人間まだまだ捨てたものでもありません。


古代裸にあらたな居を構えたは良いけれど何が困るかと言えば、ユニットバスがとにかく狭い。これに尽きましょう。まったくもって足を広げられません。想像していただけるでしょうか、はてしなく壁ぎわに設置された便器/便座に座ると、その時点で右膝と右壁との間に10cm強しかすきまが存在しない様子を。これでは十分な開脚位が得られず、開口部で繰り広げられる肛門と便のせめぎ合いがかなり分の悪いことになってしまうのです。付着するのです。トイレットペイパーの消費量が増加してしまうのはまだしも、安堵にみちた開脚を実現できないようでは心のやすらぎ、いろどり、そして子宮にくるまれるかのような安心感といった、トイレに求められる重要なファクターがことごとくそぎ落とされてしまいます。


トイレ文庫を愛してやまない、いっそ自転車のサドルを便座型にしてしまいたい(中ぶたもほしい)私にとってこのトイレ事情はまことにいただけない。看過ならないのです。ゆとりある開脚位のなか、冷えるお腹というバクダンをかかえひやひやしつつも、鼻くそをほじりながら読むジャンプが私にもたらす至福のひととき。それは今やはるかに遠けき心の都となってしまいました。このままではあれほど愛していたのに、いや、愛しているからこそ、いとしきトイレ文庫と距離を置かなくてはなりません。トイレとの新たなリレイションシップを築いていかなくてはならない時期がどうやら近づいているようです。


以上、古代裸に移住し10日たった現在の近況報告に変えたいと思います。他に大きな変化は何ひとつありません。ごきげんよう