タンク

せっかく日曜日の夜だから。「大日本人」を観た帰り道、読みさしの本(東浩紀動物化するポストモダン」3年ぶりに再読)をひといきに読み終えてしまいたくて飲み屋に入った私。ドトール感覚で焼酎を飲むイキな私。ページを開きしおりを裏表紙の脇へはさみ、焼酎お湯割りも整いいざ万全の体制でページをまくる。センシャニキョウミナイ?空耳かと思いページをまくる。センシャニキョウミナイ?間違いない、左となりの男が気のおけない仲といった雰囲気まる出しで私に話しかけてくる。戦車に、興味、ない?


ない。いさぎよい断定は決して美徳などでなく、イエス・ノーで揺れるあいまいな綱渡りにこそ真善美がやどると信じてやまない私だが、戦車に限れば話は別だ。これっぽっちも興味がない。 赤のケープでつくる、ゆるふわ愛されカール♪バーカ。てなくらい興味がない。にしてもこの子かわいいね。
ええまあ、あの、まあ言ってしまえば興味がないですねえ。せいいっぱい控えめに会話を断ち切ろうと試みる私。止まらない戦車。


あれ、人さまの前で戦車どうこうの話していいことんなってんのって岡部いさくだけじゃなかったっけ?そんな私の疑問符をふりきり、氏のトークは野を越えジャングルをなぎ倒し河川をつっきりひた進む。ピストルって面白くない?ZARDは衝撃だったよね…「君がいない」が一番好きだったよ。ビールは泡抜きが最高じゃない?と変幻自在の変化を見せる。5分に一度は挟まれる「飲まなきゃソンソン!」という悲鳴にも似た叫び。だいたい一つ言っておくけどなあ、泡のないビールよりも泡のあるビールの方がぜったい的に美味いんじゃボケ。などと言えるはずもなく、ああ焼酎とかどうでもいいから早くおうちへ帰りたい。でもこのおっさん面白いから害の及ばない範囲でしばらく眺めていたい。葛藤。
結局終電まで戦車男さんに適当な相槌をうちながら過ごした。あしたも太陽は昇る。