シンセミア

ひさしぶりに死ぬほど面白い小説を読んだ。腹の底からわき上がる高揚感に打ちのめされた。文字を追うという行為がなぜこんなにも幸せなのかと感じ入った。なんでこんなにかんじをいっぱいおぼえなくちゃいけないの?将来子供に聞かれたらこう答えよう。それはね、シンセミアを読むためだよ。


読み始める曜日を的確に選ばないと、1時間しか寝ないで次の日の仕事に行くハメになる点には十分すぎるほどの警戒心が必要だ。読み終わると「うっせぇこの腐れパン屋が!」「とっとと黙んねぇかこのベッチョ野郎め!」と誰かれ構わず言いたくなるのにも細心の注意を要するだろう。恥ずかしいくらいに本を読まない僕は『シンセミア』が初めての阿部和重だったのだけれど、まさかこんなにもすごいとは。


シンセミア〈1〉 (朝日文庫)

シンセミア〈1〉 (朝日文庫)

シンセミア〈2〉 (朝日文庫)

シンセミア〈2〉 (朝日文庫)

シンセミア〈3〉 (朝日文庫)

シンセミア〈3〉 (朝日文庫)

シンセミア〈4〉 (朝日文庫)

シンセミア〈4〉 (朝日文庫)