サマー・バケーション

暑い。暑いよ。この火曜日から夏休みをいただいている私はたける夏をそれなりに謳歌しているのだが,病院を一歩出て何がびっくりって世の中では梅雨明けの暑さがこんなにも威をふるっているという。あろうことか私の住む部屋のエアーコンディショナーが絶妙すぎるタイミングで故障,近隣随一の西日を誇る我がすみかは未曾有の蒸し風呂状態を呈し,なんだかバナナの葉っぱでくるんだ芋の蒸しものみたいな状態に家主を陥れている。悪いことは重なるもので先輩からロハで譲っていただいた白のカローラ,じゃなかったマーチ、まあどっちでも良いけれどその冷房の効かなさ具合たるや筆舌に尽くしがたくひとたびスイッチをひねれば灼熱の外気と同温の烈風をもうぜんと車内に吹き込むばかり,あじのひもの工場の一工程を彷彿とさせながら車主をみるみるひからびさせていく。家にも車にも逃げ場がなく,唯一の涼環境であった病院をひとときのバカンスと引き替えに失った私は汗だらだらのパンツびしょびしょで街をさまようばかりだ。今日もドトールのアイスコーヒーが美味い。コンビニのモルツが美味い。コカ・コーラも美味い。もう水分だったら何でもいい。


当直明けの月曜日午後から実質的な夏休みを得た私は,看護師さんに斡旋していただいたチケットでAsian kung-Fu Generationのメガネくんが主催するというNANO-MUGEN FESTIVALにいそいそと赴いた。お目当ては青春のアイドルThird Eye Blindだ。生で『Jumper』や『Semi-Charmed Life』が聞けるとあっては足を運ばないわけにはいかないだろう。
アジカンだけでなくELLEGARDENも出るとのことで,横浜アリーナはまさしく「キッズ」たちでごった返していた。アジカンエルレ,ROCK IN JAPANないしはCOUNT DOWN JAPANのT-shirtを身にまとい首巻きのタオル。あとは眉毛を削ったり髪をファンシーな色に染めたり,ロック少年少女にとって何より正しい「王道」ともいえるいでたちでみんなが飛び跳ねていた。おそらくは20歳前後がメインの客層で,私のような20台後半はずいぶんと少なかったのではないかしら。


水やらジュースやらシャンパンやらを天にまき散らしながらモッシュピットに突撃する,もしくは高らかに掲げた手を前後にウンパウンパしてメッセージを投げかけようとする(何なんでしょうねあの仕草って)しか能のない若僧どもに大人のロック作法を見せつけてやらなくては!とのたぎる思いからビールをかけつけ1杯。次いで焼酎をかっこみほろ酔いになったところでどっかりとベンチに腰掛けゆるゆるとSPECIAL OTHERSを観劇し気がつけば居眠り。次いで日本酒で酔いを深めつつASHに興じては船をこぎ,初めて観るけれどエルレってこん音のバンドなんだーふむふむと関心しながらうたた寝エルレ終演に伴いがら空きになったスタンディングエリアに移動しSPACE COWBOYでひとしきり体にアルコールを回した後,ついにお待ちかねのThird Eye Blind。ひゃっほーい,まってたよスティーブン・ジェンキンス!とこれまた座席に腰掛けゆったりと10年ぶりの来日を味わっているつもりで気がつけば夢の世界。最後のアジカンも途中からぐっすり。結局,観たアクト全部で居眠りしてるのな。我ながら相当にオトナの楽しみ方を身につけてきていると感じている。
とにかくThird Eye Blindはかっこよかった。それだけで大満足だ。あとエルレは曲やら佇まいがルナシーに似ていた。


夏休みはフジロックだ。昼寝しまくってきます。




Third Eye Blind 『Jumper』




Third Eye Blind 『Semi-Charmed Life』