マイネームイズ

残念ながら私「人の名前を冠された症候群何一つ覚えられない症候群」に罹患していると確定診断が下りました。数年前からかなり疑わしかったのですが、ついに確定診断出してしまおうと思います。無理です。人の名前が2つ並んだりしたらもうおしまいです。Kugelberg-Welander syndrome、Rabson-Mendenhall syndrome、Cruveilhier-Baumgarten syndrome全てちゃんちゃらです。絶対読んだことあるページに載ってるのに何一つ内容を覚えていません。何たること!
しかも今かっこつけて結構マイナーっぽい(メジャーなのかもしれないけど)名前を出したので上の3症候群を覚えていないことに落ち込んだりは別にしてないんだけど、超有名どころだって全くと言っていいほど覚えられません。ParkinsonもSjogrenもあやしいものです、いや、どう考えても「かろうじ」です。


以前は「人の名前からは疾患概念や症状がイメージしにくい→がんばっても覚えられない」という機序が主たる原因(当然ながら勉強量のそもそもの不足、暗記力のなさなども本症発症のメカニズムとして想定される)と考えられていたのですが、病状は日々増悪傾向を示しており「人の名前がついている→どうせ覚えられない→そもそも覚える気がわかない」というカスケードが私の中で生まれています。人の名前の時点で「暗記パス」と匙を投げてしまうことがしばしばなのです。


それにしても、なぜ医者はバカの一つ覚えのように発見者の名前を各種疾患につけようとするのでしょうか。確かに名前で疾患を呼んだ方が便利なこともままありますが、それは相当に「よく使う」病名に限った話ではないでしょうか。マイナーな人は名を残さないで!心からそう言って差し上げたい。
そもそも「名を後世に残したい」という欲望が、前時代的というかはっきり言ってダサいと思うのです。これは誰々の発見である、自身の生きた証を残したい、という発想は「近代」という病理によって生じたもの。という点に関しての無自覚が過ぎると思うのです。まあ国家試験用の教科書に載っているような症候群(その他、症状・手技・器具など何でも)で現在人の名前で残っているものって発見されたのは大体20世紀19世紀だから、○○先生の名前マンセー的な発想でつい名前を残してしまうのもむべなるかなとは思うのだけれど。「よーし、これは幕の内基準!」とか言っちゃって。ぷげら。


まあもちろん、周りが自然とその人の名前を冠していったのかもしれないけど、これ見つけたの俺だから自分の名前で呼ぶーとか、ゆくゆくは「冠症候群」(芸能人とかの「冠番組」、と同じ使い方の「冠」)持ちたいよねーとか。そんなこと言ってた人がもしいたのなら。断言してもいいですその人はアホです。理屈じゃないんです、僕の恨みと怒りがそう言っているんだから間違いないのです。
あなたの名誉欲に付き合ってる暇はないんですよ、と。まあその名誉欲が素晴らしい発見に結びついたことは否めないから多少の(医学部生に対する)害は仕方ないと言われればそれまでだけれども。


それにしても何に腹が立つって、ここにグダグダ書いてる間に人の名前症候群10個くらい軽く覚えられたはずなのに無為に時間を使ってしまった自分に腹が立ちます。死にたいです。これから腹を切るためにメスを研ぎたいと思います。僕が死んだら、人の名前が覚えられなくて腹を切る疾患をshoshoshosho syndromeって呼んであげて下さい。それでは。