そうだ、

ラブシティへ行こう。つまり恵比寿リキッドルームへ行ってきた。曽我部恵一BANDオールナイト7時間。死ぬほどはしゃいで死ぬほどビールを飲んだ。タラリララーン、ララーン(ヱビスの歌)。少し遅刻して会場の扉をくぐり「恋に落ちたら」の最後のフフーンフーンが耳に飛び込んでくるとそれだけでビールが1本空いた。夜もふけ地べたで寝ている人、疲れ果てラウンジでぐったりする人、眠気を吹き飛ばし飛び跳ね続ける人。この夜だけ恵比寿に訪れた、世界通算で何百万回目かのサマー・オブ・ラヴ。それはお世辞にもきれいな光景ではないけれどこういう空間が何より好きな人間に育った。育ってしまった。自分の意志とは関係なく気が付けばそのようになっていた。ということはやはり、これは自分の意志なのか。
曽我部恵一なんてひとつも聞いたことがないのにムリヤリ拉致し連行したつれも、どうやらあのもじゃ髪のヴォーカルを気に入ってくれたらしくそしてやはり上野智文がかっこよすぎたらしくCDを3枚持って帰った。東京、LOVE ALBUM、LOVE CITY。良いチョイスだと思う。まあどの3枚をとっても良いチョイスになるに違いない。


サニーデイ時代を合わせた全アルバムから40曲はやったんじゃないのかな(後付注:54曲だって!)。誰かセットリストを書いてくれないだろうか。
甘いメロディーに乗せて、恋の季節が夜を飲み込むだの風が吹けばあの娘が目を細めて笑うんですだの(注:雰囲気だけで書いているので実際にそんな歌詞はありません)20代も半ばを過ぎて未だにそんな歌を偏愛する私の未成熟が今日ばかりは幾分かほこらしい。なぜってあんなにも素敵なライブに居合わせることができたのだ。タラリララーン、ララーン。とにかくたくさん曲を聞けた満足感もあってだろうけれど、僕が見てきたなかではサニーデイ解散ライブ以来の強烈なマジックが会場に降り注いていると感じた。
徹頭徹尾のすばらしさだったしほとんど全曲歌えるしつまり全編がまさに夢の時間だった。ハイライトは「七月の宇宙遊泳」、BANDが出てきてすぐのロックンロール・タイム(「胸いっぱい」「セブンティーン」「シモーヌ」あたり)、そして「魔法」に「瞬間と永遠」仕上げに「青春狂走曲」だろうか。佳盤『LOVE CITY』からの曲はやはり粒ぞろいでアレンジの妙も手伝ってか実にライブ映えしていた。そうだ「旅の手帖」に「シルバー・スター」が聞けたのも予期せぬ喜びだったな。シルバー・スターなんてここのメアドにしている。


この4月から研修生とはいえ社会人になったわけだし自分でこういうのも難だが恥ずかしながら誠実に毎日を送っているつもりだ(とか言いながら平日に飲み過ぎたり勤務中平気で昼寝したりしている、そんな私の弱くダメな部分、このあたりに魅力を感じとれるかどうかで今あなたの母性が問われているのです。ラブミーテンダー!)。するとどうだ一ヶ月にしてはやくも土日の、遊んでいられる瞬間のきらめきの意味が大きく変貌をとげた。晴れた日の空の青が今までとはたしかに違う青になった。昼間からレコード屋、新入荷からチェックするなんて夢のまた夢になってしまった。陳腐な言い方になるけれど、日々のよろこびやかがやきについてあらためて考えていく必要がありそうだ。爆発して未だに行方不明のジュークボックスについて大まじめに考える時期がやってきたらしい。
うしろめたさと思い切り、今こんなことしてて良いのだろうか?という逡巡と、いや今を生き享受するのだ!という叫びを両輪にして適切な進路をとらねばならない。いや、ねばならないではなくて、進みたい。これは自分の意志だ。