Coffee

すいません、今日のエントリ、ふざけてるところ一箇所もないです。って誰に謝ってるんだ自分よ。←ナンシー関風。


スターバックス・カフェ、略してスタバ。あそこのスタッフさんはなぜああも笑みを湛えるのだろうか。いわゆる「カフェ」系のお店の中にあって異彩とも言えるあのスマイル。タリーズドトールエクセルシオール。その他カフェ・ド・クリエでもサンマルクでもニューヨーカーズでも、あそこまで店員が過剰に微笑む店を寡聞にして僕は知らない。笑顔のための笑顔っていうか、逆アルカイックスマイルっていうか。嗚呼、スターバックスカフェ。スターバックス、カフェ。二回言ってみた。


「ビール半額祭」開催中の土間土間にて板尾さんと昨日飲んでてそんな話になって、彼女が言うには「スタバよりもドトールの方が生活のためにバイトしてる感じがする」だそうだ。言われてみれば確かに、僕もそんな印象を持っている。スタバの店員さんの湛えるスマイルはもはや「浮世離れ」していて、言葉は悪いかもしれないけど、道楽でスタッフやってます、自己実現のために働いてます的な「お金二の次」感がある。実際の店員さんの気持ちがどうかはわからないけど、一顧客としての印象としてそう感じる。


スタバには生活感がまるでなくって、値段だけで言ったらタリーズの方が高いのにタリーズの方がまだ生活感を漂わせている気が個人的にはする。何て言うんだろ、タリーズはコーヒーにお金を払ってる気がするけど、スタバはまさに雰囲気に、より多くのお金を払ってる感じ。
「アメリカ型カフェ」の走りってまさしくスタバだと思うんだけど、あの時って「何やらかっこいい喫茶店がやってきたぞー!道を空けろー!」みたいな空気があった。「アメリカの夢」みたいなものをひっさげて鳴り物入りで登場した新世代の文化侵略兵器スターバックス、ただ今グレン・ミラー楽団は"In the Mood"に乗って、ついに日本上陸です!
あるいはそれは、バリューセットの導入によりマクドナルドから失われた「アメリカの夢」の補填を求め無意識に日本が招聘した「アメリカの夢」の正統後継者なのかもしれない。20年前のビッグマック。プラスチックケースいっぱいに詰め込まれたあの味は、(地理的にではなくて文化距離として)はるか遠いアメリカを夢想させる味だったように思う。実際のアメリカがどうだかは問題ではなくて「何となく」の雰囲気に浸れることが大切だった。


「正統」を義務づけられたからこそ、スタバだけはあのスマイルを絶やさない/絶やせないんじゃないだろうか。スタバに求められているのは、「アメリカ型カフェ」代表として日本に「何となく」「っぽい」空気(「意味としての、アメリカ型カフェ」)を提供し続けることで、その点で、タリーズエクセルシオールなどその他の「機能としての、アメリカ型カフェ」とは決定的に異なる。
ヘイ、ホワイドンチューちょっとコーヒーでも飲んでいかないジョージ?ワオ、ワットアグッドアイデア、断る理由が見つからないよジョディ、ハハハ。ハイスクール帰り、オフィス街の昼下がり、そんな会話が繰り広げられてそうで、そういう空気を日本で作り出すことがスタバに課せられた使命っていうか(繰り返すけど、実際にどうだかは問題ではない)。


客にしてみればスタバに入るっていうことは、そういう「アメリカの夢」に浸るってことなわけで、そこで店員さんが時給いくらです、みたいな「現実の顔」をしてたら困るからこその笑顔なんじゃないのかなあ。実際には時給いくらで働いているし単なる「作業」をしてるんだけど、そういう現実からの離脱のために、スマイル。ディズニーランドにおけるそれと同じ意味を帯びた、スマイル。医師や看護師が患者さんの前で軽く微笑み気味の顔を作ったり、特殊な口調で喋りかけたりするのも似てるかも。


どうでもいいけど、僕はドトールが一番好きです。値段設定、店員さんの接客態度、BGM、机の大きさ、メニュー、全部が何だかんだですっごい日本っぽくて落ち着く。今日もドトール