おなまりパブ


ふるさとの訛りなつかし停車場の人込みの中にそを聞きに行く。


学生が本分ではあるものの、「パブ・プランナー」という肩書きも併せ持つ身として、今日は「おなまりパブ」を提唱させていただきたいと思います。パブではなくてキャバクラでも各種性風俗店でも、形態にはとらわれません。とにかく、お姉ちゃんたちがそれぞれの郷土の訛り全開。そんなお店はいかがでしょうか。


何をくだらないことを、とお考えの向きもあるでしょう。しかし、冒頭に引いた啄木の歌に寄るまでもなく、都会で働く男は全員どこかで故郷を求めているのです。


大した期待もせずにふと立ち寄ったお店で隣に座ったお姉さんが、生まれ育ったかの土地の、懐かしい郷土のことばでやさしく迎えてくれたとしたら。それは中学生時代、気恥ずかしさが邪魔して好きと言えなかったあの子と同じことば。毎日寝坊する自分をやさしく叱ってくれた母親のことば。
地元の小さなショッピングセンターの話。小さな頃に地方独特のルールに基づいた鬼に追いかけられた話。そんな思い出話に花を咲かせながら、都会の戦士達は心の疲れをいやし、明日への活力を養うのです。
ネオンに囲まれた第二の故郷に、彼らは投資を惜しまないでしょう。


お店のキャッチコピーは「おなまりオッケー」。「おなまり」という言葉のまとうどことなくいやらしい雰囲気も相まって、繁盛間違いなし。男たちは毎晩のように故郷の思い出に集い、笑い、時には涙することでしょう。


まあ、そんなお店はとっくに腐るほどある気がしてならないのは秘密です。
本日私が申し上げたいことは以上です。明日は「幼稚園パブ」を提案させていただきたいと思います。