つもり

ささやかな幸せ。たとえばそれは自分のペースで一人飲む一本目の缶ビール。もちろん人と飲むお酒も大好きで、大きめのジョッキで盛大にかわす乾杯は愉快なことこの上ないし瓶ビールを皆でつぎ合う親密さは何ものにも代え難い。ましてやかわいい女の子が居酒屋でサッポロのグラスにビールをついでくれたりしたらそれは至上の幸福、そのままその子につぎ返して控えめな乾杯なんてできたらもう!死んでもいい!のだけれど、一人でゆったりと飲むビールの特別さというものがあるように思うのだ。


好きなミュージシャンのライブへの道すがらついついコンビニで買ってしまう。秋風の心地良い夜はふらり外へ出、名前も知らない公園の名もないベンチでゆっくりと味わう。雑なおつまみを用意しぼんやりテレビを眺めながら、お気に入りのグラスに注ぐ。
ヱビスでもプレミアム・モルツでもなく、ハートランドも悪くはないけれど、やはりここは一つマイフェイバリット、モルツをいただきたい。至福の一本目と自分のペースで向き合えば、500ml缶一本で十分にほろ酔えるではないか。なんとぜいたくな時間だろうか。


とここまで書いておいて難だが、大失敗である。
冷蔵庫を開けたら一本もビールが入っておらず途方に暮れ、それでもビールを飲んだつもりになるためにあれこれ書いてみたらどうだろう。つもりどころかますますビール飲みたくなっちゃったよ、つうかビール飲みたくてこれからコンビニ行くよ!という見るも無惨な結果に終わってしまった。
午前三時にも関わらずビールが飲みたくて飲みたくてどうにかしそうだ。午前三時のビール大臣だ(意味不明)。ビールを訪ねて三千里、マルコがお母さんに会いたいのよりも僕が今ビールを飲みたい気持ちの方が絶対に強い。三万里は歩く覚悟がゆうにあるからな。ランランラーン、ランランラーン、ランララランラン ラーランランラン、せーの、ビール!(意味不明)


新機軸「つもりブログ」、完全に企画倒れである。この試みが成功を収めれば「なぜか今日はモテたつもりブログ」「今日もよく勉強したつもりブログ」「お母さんのために三千里歩いたつもりブログ」など、無限のバリエーションが楽しめるはずと踏んでいたのに。無念。
まあとにかくモルツを買ってこよう。ランランラーン、ランランラーン。