シロハタ

惑わされてはいけない。「優先順位」という言葉、「優」に「先」と華々しい言葉で飾られた「順位」。字面だけを観ればこの星の一等賞間違いなし、作業の高効率化や整理整頓を無言の内に言祝ぐ言葉ではあるがその根底にあるのは「敗北宣言」だ。優先順位に頼らなければならない場面。というものを自身の経験から振り返るに、そこにはこのままでは全てを達成できない状況、すなわち「ノルマ過多」が確実に存在している。
試験勉強をしなくてはいけないのにバイトは休めないし部活の練習を欠席して良いわけがない上にどうしてもはずせない同窓会がかぶってきて、でもテレビは観たいしジャンプ読みたいしお風呂は2時間かけてゆっくり肌に染み込ませたい、そして日課の写経は欠かしたくない。オンキリキリオンキリキリ…。


次いで登場するのが「作業の効率化」これである。優先順位化で実施すべき作業をピックアップした暁にはそれらの要素を順序よく並べ、より短時間でそれらを達成できるようあるいは最も重要なノルマに多く時間を割けるよう腐心しランクを決定する。人生に関わるレベルの大がかりな「順位づけ」「効率化」をする頻度はそれほど高くないかもしれないが、日常生活の中で無意識に「今日はまずこれをやらなくては」なる視点を要する場面は無数に存在する。むしろそのような発想なしに一日を終えることは事実上不可能だろう。あ、洗濯機が回っている間に食器洗っちゃお。あと2ページ写そ。ナムミョウホーレンゲーキョーナムミョウホーレンゲーキョーフォーリンクレイジーラヴウィズユーアイニーヂューオンキリキリオンキリキリ。


いつの間にか優先順位・効率化なる思想なくしては暮らせない体になってしまったこの私だが、「順位化」という思想に肩までつかってのんびり100まで数えてしまうとどうだろう、優先順位のそもそも、つまり「やるべきことからやらないと」の母胎となった自身の(ニンゲンという動物自体の)能力の不足、欲の深さを見事なまでに忘れ去っているではないか。
惑わされてはいけない。優先だ効率だ、そんな肌触りの良い言葉に惑わされてはいけない。切り捨てて生きているんだぞお前は。他にあり得た様々な可能性をなかったことにして今のあり方に行き着いたんだぞ。常にこの意識でいないと、幸運が重なり首尾良く自分内ノルマを達成したとき(写しきった!とか)についつい「俺ってばすごい」的な発想に身をまかせてしまう。違う違う、他のことをあれこれ削ってそれをやっただけじゃん。そこへの反省を忘れたら意味ないじゃん。
優先順位も効率化も必要だが、同時に日々真摯な敗北宣言を重ねていかなくてはならない。そして、はてなダイアリーに費やしている時間を削れることは間違いない。何なんだこのムダ時間は。アホか!