無用の長物

私がくらすハナコガネイ駅、家への道すがら明かりをともすお総菜屋さんゼストは閉店(21時)間際になると値下げフェアを始める。売り切りをねらい残り物がみるみると値引きされていく。写真に見るとおり太陽がかたどられ値下げのエキサイティングを十全に引き出すことに成功した、目眩がするほどにかっこいいステッカー。赤と黄の興奮が僕らの視覚を腹ぺこにしてくれる。


日輪の中心には「半額びき」の文字が躍る。ああなんという値引き率だろうか。そしてそう、お察しの通り、どこからどう考えても「びき」はいらない。「半額びき」である必要はどこにもなく、「半額」で十二分にことが足りる。
意味内容としての「定価の半値ですよ」を導き出すのに「半額」すなわち50を提示するならまだしも、「半額引き」つまり100-50をもってくるこの手間賃のかかりよう。無性に愛くるしい。無駄は無駄だからこそいとおしい。