鹿

昨日タワーレコードをぶらついていたら発見!日本を生きる数少ないホンモノのアーティスト、堂本剛がDVDを出していた。

「薬師寺」 / 堂本剛 初回盤 【DVD+CD】

「薬師寺」 / 堂本剛 初回盤 【DVD+CD】

創建1300年を過ぎ、今もその姿を奈良にとどめる「世界遺産 薬師寺」へと30歳という節目を迎えた堂本剛が引き寄せられた。
その歴史に息づくメッセージを全身で感じながら言霊、音霊を生み出した珠玉のステージが遂に映像化。(Amazonの商品ページより)

多分アーティストってのは生き方を指す言葉だ。表現に向かう、内的/外的な必然性からそこへ向かわなくてはいけない人。作品のクオリティがどうだとか商業的に成功するかであるとか、それらはアーティスト本義ではない。何かを産み出そうとする運動性そのものがエンドリケ、ではなくて「アート」なのでありその意味で堂本剛は十分にアーティストなのだと思う。

作品を見ずにこんなことを言うのもアレだけれど、我らが剛くんのアートへのこだわりや実存への苦悩や俺の歩いた道筋が既にアートだぜくらいの矜持がおそらくは存分に発揮された、非常にデリケートな問題なのでここは十分に言葉を選ばなくてはならないが、「あっち方面に気の利いたおクスリ」のようなステージなんだろう。
その世界観に共感を覚える人は一定数いるだろうし生活に趣味であり喜びがあるのはステキなことだ。ただ彼の場合、これは単なる邪推に過ぎないかもしれないが「アイドル堂本剛のファンでではある。でも、アーティスト堂本剛は正直しんどい…」というファンが一定数いるのではないかしら。 エンドリケリエンドリケリ、美我空、ベルリン、薬師寺。彼をめぐるオモシロ・ワードを振り返るにつけそんな気がしてならない。

そういう「引き裂かれた」ファンたちにとって今回のDVDであり、彼のその他の活動を追う行為はある種の「チキンレース」なんじゃないのか。ファンとしての経済活動(グッズの購入、コンサート参加)をどこまで続けるのかあるいは他のファンに先んじて消費活動にピリオドを打つのか。
おそらく剛くんはこれからもアーティストとして孤高のいただきを目指し続けるだろう。周囲の凡人からすれば心情的にもっともっと「理解の届かない」場所へ、それが「アーティスト」の定義であるからして彼は向かう。その時に「これはもうキツイ…付いていけない」「でもそんな剛くんが好きだから…」とアンビバレンツにやられながら崖っぷちまで止まるに止まれぬ、自分とのそして周りとの奇妙な心理戦。

結論。現代における真の「アーティスト」は堂本剛、ファン活動はチキンレース
(ファンの人からすげー怒られそうだな…)

2010上半期ベスト50

とりあえず文字列だけ!今後リンク貼ったりします!
中産階級用キラキラポップ大好き人間の、非常に頭悪そうでわかりやすいランキングになっていると自負しております。

1:Horchata/Vampire Weekend/Contra
2:チャイナアドバイス相対性理論シンクロニシティーン
3:Song for No One/Miike Snow/Miike Snow
4:痛いよ/清竜人/痛いよ - EP
5:NEXT/S.L.A.C.K./WHALABOUT
6:Lahaha/トクマルシューゴ/Port Entropy
7:See Waves/Nice Nice/Extra Wow
8:Swoon (Radio Edit)/The Chemical Brothers/Further
9:Someone's Missing/MGMT/Congratulations
10:トーキョー難民/あるぱちかぶと/◎≠

1月にでたVampire Weekendの「Contra」が2010年の空気を決めた!といったとこでしょうか。相対性理論はもともと曲が良かったけど、とにかくヴォーカルがどんどん魅力的になっていてヤバい。2位の曲はとにかく「やめチャイナ」な歌詞がかわいくてかわいくて…。3位はスウェーデンのバンドMiika Snow。ほら、オサレ・ロックといえばエーデンだからエーデン。
清竜人もスラックもアルパチも、方向性は違えど本当に日本語が美しかった。
Chemsはヒップホップ路線をかなぐり捨てて「15年前に先祖帰りする」というハイブロウなドッキリをしかけてくれて非常に、それは非常に驚きましたが…このシングルだけは最高!
MGMTは頭が勝ち過ぎてる感じがして正直そんなに好きになれないんだけど…大好きです!
11位以降以下のとおり。それではみなさまごきげんよう

11:Spoiled Boy feat. Lovefoxxx/80Kidz/SPOILED BOY - EP
12:Shadow Heart/Javelin/No M_s
13:Blue Blood (Album)/Foals/Total Life Forever
14:恋人たち/サニーデイ・サービス/本日は晴天なり
15:バケツの中でも/踊ってばかりの国/グッバイ、ガールフレンド
16:Baptism/Crystal CastlesCrystal Castles (II)
17:Gypsy Girl/Curly Giraffe/Idiots
18:KEEP YOU HAPPY/The Bawdies/THERE'S NO TURNING BACK
19:Rushing to Paradise (Radio Edit)/House of House/Rushing to Paradise
20:ナチュラルに恋してPerfume不自然なガール / ナチュラルに恋して

21:Sing/Four Tet/There Is Love In You
22:One Touch/LCD Soundsystem/This Is Happening
23:ダンボール肉まん/在日ファンク在日ファンク
24:Any Which Way/Scissor Sisters/Night Work
25:Falling From The Sun/The Album Leaf/A Chorus of Storytellers
26:Stay Close/Delorean/Subiza
27:Love or Lies -LIAR GAME original ver-/capsule/Love or Lies -LIAR GAME
28:BABYDOLL/毛皮のマリーズ毛皮のマリーズ
29:Doubt/Delphic/Acolyte
30:Dance of the Pseudo Nymph/Flying Lotus/Cosmogramma

31:MandyRatatat/LP4
32:Smells of your Skin/Rocket or Chiritori/Left sounds
33:16/andymori/ファンファーレと熱狂
34:Maybes/Mount Kimbie/Maybes - EP
35:海/世武裕子/リリー
36:break boy in the dream/環ROY & 七尾旅人/BREAK BOY
37:End Love/OK Go/Of The Blue Colour Of The Sky
38:Some Kind of Nature (feat. Lou Reed)/Gorillaz/Plastic Beach
39:ぶっとんだ!/藤本敦夫/どこにもないランド
40:ピンクローター/銀杏BOYZ/ピンクローター - EP

41:The Hammer/!!!/Strange Weather, Isn't It?
42:ロックンロールは鳴り止まないっ/神聖かまってちゃん/友だちを殺してまで。
43:What does it mean?/Predawn/手のなかの鳥
44:Return Of White Rabbit/ASH/A-Z Vol.1
45:Windstorm/School of Seven Bells/Windstorm - EP
46:シャツを洗えば/くるりユーミン/シャツを洗えば
47:Be Strong/The 2 Bears/Follow the Bears - EP
48:パンティー泥棒の唄/Mowmow Lulu Gyaban/クロなら結構です - EP
49:One Life Stand/Hot Chip/One Life Stand
50:アイラブユー/川本真琴/音楽の世界へようこそ


【今年の曲ではないけど愛聴したもの】
Honey Cone 最高!!

1:Don't Count Your Chickens (Before They Hatch)/Honey Cone/Soulful Sugar: The Complete Hot Wax Recordings
2:Undelivered Letter/Quantic and His Combo Barbaro/Tradition In Transition
3:Rock My Chain/Mishon/Rock My Chain
4:Cemetry Gates/The Smiths/The Sound of the Smiths
5:Por Donde Saldra el Sol/Manu Chao/Radio Bemba Sound System
6:Feel Like Makin' Love/D'Angelo/Voodoo
7:I Want You Back/Trijntje Oosterhuis/Never Can Say Goodbye
8:Celebration/Madonna/Celebration
9:If You Don't Love Me/Prefab Sprout/38 Carat Collection
10:In the New Year/The Walkmen/You & Me

Woofer

その男を見る機会に僕は2回恵まれている。1度目は去年の夏。明るく脱色された髪にグラデーションのかかったレイバン、大胆すぎる開襟で着こなされた柄ものシャツ。高架化工事の終わっていない当時、「開かず」業界でキム・ヨナばりのパフォーマンスを見せ続ける武蔵小金井駅の踏み切りにトラップされ、オープン・カーの彼は少々いらだっているようだった。手塩にかけて改造したのだろう、ウーハーからの豊かな重低音が僕を含めた通行人のボディにガンガンと響く。わかりやすい程のヤンキー趣味で丁寧に味付けされたいかにも聞き心地の良い「アゲアゲ」なトランス。まあアホがご自慢の車でイチビってただけの話だが不思議と印象に残る光景だった。
そして先週、高架化工事が終わり大幅に踏み切り渋滞の緩和されたはずの同じ場所で、彼は変わらずトランスに体を揺らしていた。バカ過ぎて半年間アクセルの踏み方を忘れっぱなしなんじゃ…*1。ドゥーンドゥーンドゥーンドゥーン、響くウーハー、よみがえる身体記憶。わかった、あんた十分カッコイイよ…。


大音量で好きな音楽を、車の外に聞こえる音量で(←ここがポイント!)、自分の格好よさアピールの一環として流す。内心バカにしながらではあるが、そこにある「自意識のなさ」が僕は結構好きだ。カッコイイことをやってる俺はカッコイイでしょ?というどこまでもまっすぐな価値観に貫かれた無邪気なアピールに苛立ちをおぼえることもあるが、どこか間抜けでほほ笑ましいとも思う。
自分はこういった「カッコイイ」ことをして良いんだろうか…?このウーハーの響きの「カッコよさ」って一周回ってカッコ悪かったりしないだろうか…?など湿っぽいことを考えてはいけない。こういうのは自意識過剰で面倒な人間が、自意識の奴隷が考えることだ。自分の現状を見なかったことにする精神のタフさをもたない、弱い人間だけが抱く不必要な疑問だ。つまり僕が悩んでいればいい話なのだ。
ちなみに自意識という言葉が何度か出たが、ここでは「幽体離脱して10メートルくらい宙に浮いた感覚で、現実の自分を冷静に評価する客観的(と本人だけは思い込んでいる)な視点を持つこと」くらいの意味で使っている。





































辻仁成である。この写真を見てあなたは何を思うか。自意識過剰?違う違う、これは自意識「過少」だ。デジカメ片手に鏡の前でポーズをキメる男は、「妻である中山美穂を今このご時世に主演に据えて、自身の小説作品を映画化する」という離れ業を成し遂げようとしている。サヨナライツカ…超ド級のウーハーがここでは鳴り響いている。ちょっとでも自分を俯瞰してみる視線があるのなら、この写真をwebにアップして全世界に公開…できないでしょう…。
似たような案件として「街中でイチャつくカップル」がある。彼/彼女らが公衆の面前で堂々と腰に手を回しうるんだ瞳で見つめ合う時、あるいは接吻を交わす時、ひょっとすると彼/彼女は「今の私たちちょっとイケてる」と感じているのでは、2人で1つのウーハー気取りなのではないか*2。こういったお茶目なカップルはほぼ9割9分が不細工、は言い過ぎでもかなりオリジナリティの高いルックスをたたえている。公共の福祉に反するので美男美女以外は天下の往来でイチャついてはいけないし、イチャつくわけがないという私たちの共通了解が色眼鏡となって、ますます彼/彼女らを不細工に見せているのかもしれない。

















人前で恋の話をするのも「ウーハー」ではないか。美意識や価値観を含めた、自分の内面がこれほど色濃く出る話題もそうない。それを人前であけすけに語ろうというんだから、これは立派な重低音スピーカーだろう。なればこそ、仮に自分の色恋の話をするにしたって「私なんぞがおこがましいのですが…」という「おずおずと」の精神が、心ばかりのボリューム調整が必要だと僕は思う。のだが、まあ皆さん自分の恋愛観や色恋沙汰の思い出を雄弁に話すこと話すこと。
おそらく「私がこんな話をして、本当にみっともなくないのだろうか?」「自分レベルの人間が人並みに色恋を語るなんてヒンシュクものでは?」といった自己批判なんて微塵もない、そもそもそういった薄暗い自意識を抱いたことなんてないのだろう。街中でイチャつくカップルといっしょで、ある程度その恋愛感なりそれを育んだ個人の人間的内面が「グッド・ルッキング」でなければ、恋愛自分語りなんて公序良俗に反するものでしかないというのに!みんな勘違いしてないか、内面の美しさは見えやしなくて汚いに決まっていて*3誰にアピールできるものでもないから、人前で恋の話をする権利なんて誰にもないのよ?夕飯一緒に食べた後でハーゲンダッツ寄って終電までお喋りしてる場合じゃないでしょう!
いや分かる。僕が自意識過剰すぎるんだというのは分かってる。こちとらかれこれ15年以上も、自意識こじらせ続けてるんだからさあ!治療のためにも師と仰ぐこところから始めなくてはいけない、辻仁成を。

私の名前はZINC
ZAMZA N’BANSHEEのボーカリスト
そして、自分という宇宙を旅する求道者。
このブログは終わりのない精神の旅の記録です。

次のライブパフォーマンスへ向けて、日々自分を鍛え、求道する
私が
さまようこの夢の終わりを
記しています。

矛盾だらけの世界に存在しながら、嘘のない一瞬を求めて。*4


というわけで結論。このブログも実にウーハーであり辻仁成!ではでは。

*1:冬服にはなっていたので車を置いたまま一旦おうちに帰り、季節に合わせたお洋服を選んできた可能性はあります。

*2:彼らのメンタリティばかりはまるで想像もつかない世界にあるので、完全な妄想ですが。

*3:人間はそういうものという前提で喋っております。汚いから「ダメ」ってのは違って汚いからきれいなんだけど。

*4:辻仁成のバンドZINCのblogより。http://www.j-tsuji-h.com/html/from_zinc/backno.htm

デート考2

ヘテロな女子2人同士で会うことを「デート」と呼ぶ風習が私は苦手だ、ということを前回書いた*1。今日はその続きを書こうと思う。前回は、私が「デート」*2を嫌う理由を2つ挙げた。

  1. 従来の意味で使われる(異性との)デートと紛らわしく、面倒。
  2. デートにまつわるファンタジーが摩耗する。

今日はその続き、その3について考えてみる。なお「デート」で私が指しているのは、女性たちが女性同士で過ごすという行為自体ではなく(それを否定するつもりは全くない)、それを「デート」と呼ぶ慣習のこと。大事なことなのでもう一度いうけれど、女性同士で楽しく過ごす時間自体には否定的な感情はないし、もちろん揶揄するつもりなんてない。気になるのは「デート」という言葉遣いそれ自体。


私が「デート」を嫌いな理由その3。寂しいから。
デートは誰のものかって、そりゃあ男女お互いのものだろう。それぞれが指す意味内容はちがってるんだと思うけど*3、とけ合いたくて2人で会ってるのにそれじゃああんまりだからさあ、互いに意味をすり寄せあってよりよい理解に至りましょうよ、というのがデートの思想だと思う。それぞれ持ち寄ったファンタジーに共通解を探してはよろこび、相違点をみつけては笑う。


男(というか私)からしたら「デート」って、互いに意味を歩みよらせましょうよの姿勢で向き合っていたはずの女性から、一方的にそっぽを向かれちゃったように感じる言葉だ。えぇ〜、そっちだけの都合で意味を改変して女の人同士のイベントも「デート」言っちゃうのかいサザエ ?! 僕たしかに磯野家においとましてる身だけどそこは相談くらいしてくれても…。そういうことですよ。変えるにしたって合議の上で変えて欲しいじゃない、デートのシニフィエ
これはすごく寂しい。お互いに幸せな共同作業を行っていると思っていたのに、相手が一方的に「今日からデートって言葉は「デート」という意味でもつかうことにしました!よろしこ!」なんて告げてきたらそれはもう途方もなく寂しい、よろしこ!につっこむ余裕もないくらいに…。
言っておくけれど、この寂しい…という愚痴はラブレターだ。俺はまだデートっていう言葉のファンタジーを信じていたいし、その強度もすごく大切なんだよ。なぜって二人で(男女で)向きあっていきたいんだもの…。というラブレター


さてさて、その3まで考えたところで*4処方箋。
女の人特有(なのかな?)の、「気になる人・憧れている女性と会うときのときめきや胸さわぎ」という意味内容を表す言葉がないのが問題だ。そういう感情をひっくるめて女性が「意中の女性」に会う行為には現在「名前」がつけられていない。なればこそ手持ちの辞書から最も近似精度の高い言葉つまりデートが採択され、はれて「デート」が誕生したのだろう。
なので案としてはa「デートのシニフィエの変更を認め(つまり「デート」的な使い方アリ)、同性に対しても使用可能な言葉とする」、b「もっぱら女性たちの間で用いられる「デート」を表す、別個のシニフィアンを作る」が考えられる。私はもちろんb派だ。何か良いことば、ないだろうか。

*1:http://d.hatena.ne.jp/shoshoshosho/20100128/p1

*2:女子2人での会合を指す場合は「デート」とカッコつきで表記しています

*3:松本人志「10組のカップルがいたら10通りの恋愛があると思うやろ、それが違うんやなあ、10組のカップルがいたら20通りの恋愛があるんだよ」ソースは2ちゃん

*4:前回のエントリにたくさんいただいたコメントhttp://d.hatena.ne.jp/shoshoshosho/20100128/p1#cも踏まえた上で

デート考 1

女性2人(共にヘテロセクシャル)でお茶を飲んだり買い物したりすることを、彼女たち自身が「デート」と称するのをよく耳にする*1。今日は○○ちゃんと青山デートしたよー(ハート)とか△△カフェでデート中(デコデコした絵文字)。男はデートをこういう意味合いではつかわない。今日は□夫と新橋の立ち飲み屋でチンコ下ネタ全開デート(きんたまハート)という用例は存在してほしくないので、これは多分に女性特有の語法だと思う。僕はこの「女性2人」を表す「デート」という言葉づかいに常々違和感を感じており、もっと言えばいけすかないと思う。そんな旨をtwitterでつぶやいたところ色々な意見が聞けたのでまとめがてらその違和感について考えてみる。


「デート」の何がダメなのか。まず第1に本来の内容とまるで意味が違うので紛らわしいし面倒。○○ちゃんとデートしたの〜。といった話を聞く度に「ああ、普通はデートって異性とのイベント*2に使うものだけど、こういう風に女性同士の会合を「デート」って表現することがあるよな。この話題が続く間はそっちの方の「デート」だと思ってデートにカギ括弧をつけて相手の言ってることを聞けば良いってことね。ああメンドクセー」と認識しなくてはいけない。これがとっても手間!相手あっての言葉でしょう!
遊んでてさあ、ご飯食べてさあ、お茶してさあ、とものの言いようはいくらでもある中で敢えて「デート」という言葉を選ぶ、そんなチョイスの妙ってあるでしょ?洒落た会話を楽しんでるでしょ?的な「どや顔感」がこれまたにくたらしい。



第2にファンタジーの摩耗。
デートという言葉は(僕の認識が古いだけかもしれないけれど)想い合ってる異性同士が一緒の時間を過ごすこと、そこから生まれる温かさや緊張、幸福への予感、性的なファンタジー。そういったものを全て包含する言葉でしょう。しかし「デート」と言われてしまうと「2人で会えばとりあえず成立」みたいなことになってしまって、なんつうのかなあ、味というかファンタジーというか、そういうのが立ち消えてしまう。妄想が駆動する訳がわからない程の多幸感が損なわれてしまう。


これはとても大変な問題で、通例どおりにデートという言葉を使う男(私)サイドにしてみると、「ああ、向こうはデートという言葉を友達と普通に会う時にもつかうんだよな」「特別な言葉じゃないんだな」とせっかくのデートのありがたみが減じてしまうのだ。
いつもより映画が面白くなるんじゃないか、手ぐらいつなげるんじゃないか、ことによればオッパイ触れるんじゃないか、そして何よりこの子ともっと深く分かりあえるんじゃないか。そういった恋にまつわるファンタジーを背負って「出会え、いくさじゃ!」…アドーンワナミサシィーン!くらいの武田エアロスミス信玄の心意気でこちとらデートに臨んでいるというのに、女子たちときたらやっこさん。つね日ごろから「○○ちゃんとカフェデート(犬マーク)」くらいのノリで「デート」という言葉を乱用していらっしゃるとは!
いや分かる、向こうもそれなりの気持ちで来てくれているんだろう。けれど、それにしてもちょっとすり減っちゃてるじゃんか「デート」にまつわる幻想がさあ、隙や憂いの入る余地のないパーフェクトな夢を見たいじゃん…というこの気持ち。


twitterでこういう意見をいただいた*3

@kakoooon デートって言葉の持つ重みを女性側から切り下げることで、モテない男子でも気軽に誘えるようにする平等精神に基づいていると解釈すればいいんですよ!

何そのポジティブシンキング!たしかに「女子たち、同棲の友人同士でも「デート」って使うくらいにハードル下がってるんじゃ…だったら俺がデートに誘ってもあるいは…」っていう感じはあるかもしれない。
でもこれって結局は「女子たちの運動会」に一人だけ男が割りこんで100m走をやるようなものだから、そこで一等賞をとったところでそれは競争相手を間違ってるよなっていう。ファンタジーを伴うデートをするためには「(他の男性ではなくて)自分との時間を作ってくれた」という妄想が必要で、そのためには他の男たちと一緒に走って彼女にアピールしなくてはいけないんだから。女性たちの用いる「デート」の業界で徒競争しても始まりませんわ!


というわけで続く。次回は思うことその3を書きます。

*1:特に異性の恋人つまり「彼氏」がいない場合に顕著でしょうか

*2:ホモセクシャルの人の機微は全然わからないので、ヘテロセクシャル前提で書いています

*3:はてなid:kyoro-jrtwitterでは@kakoooonより

トイレ考

便利を求めるのは人間の性、とは言えそれはさすがにやり過ぎじゃ…と思う場面もなくはありません。公衆トイレの話をしています。


公衆トイレ。この便利さはありでしょう。急な便意や尿意のたびに草むらを探すわけにもいかずまして都心部には草むらの存在自体がレア、ようやくの思いで見つけた草むらに他の利用者がいない可能性はほとんどないと思われます。一億総草むら時代が訪れてしまいます。だからこそ、ありがとう公衆トイレ、ありがとうTOTO
しかし公衆トイレのサービスが「過剰」である場合こちらが面食らってしまうという悲劇。今日も草むらいらずに使わせていただいてありがとうございます…と感謝の気持ち、なればこそ「やっていただき過ぎる」とこちらが尻込みしてしまうというか申し訳なくて出るもんも出ないわけですよ。まず第1に勝手に便座のフタが開くやつ、あれはビクっとするね。なんど経験しても全く慣れない。精神衛生上良くないのはもちろんのこと、追い詰められた果てに見つけた便器様なんだから「ちょっと不便」くらいで丁度バランスなんです。フタを開けることで、行為のけじめとでも言いましょうか「いざ!」っていう心のスイッチが入る側面もあるのに便座側でそれを塩梅されるとこっちの気持ちに収まりがつかないんです。だいたい自分からフタを開けてくれるような紳士に向かって排便排尿…できます??どうかしてるぜ!


第2にあれ、勝手に水洗機能。これがまた利用者泣かせで私は実に苦手です。最後コンディションを確認したいじゃない。あーこういう色・形状だったか…という振り返り、それに伴ない得られる自身の体調への気づき。そういったセルフ・アセスメントまでを含めて私たちは「排泄」を行っているわけですよ。排泄だけが「排泄」ではなくて、得られるスッキリ感や体調管理、そういったものも含めて「排泄」なわけで、捨てる紙ばかりではなく、そこからどんな拾う神をえるかで勝負、みたいなね。
なのに便器側で気配りしていただいて立ち上がったタイミングでジャーと洗浄。ちょまっ!
けじめの部分もあると思うのです。最後に自分の手で水洗をかけることで「排泄」に終止符を。打ちたいじゃない。フタが勝手に開いた瞬間に排泄の幕が開き、機械的な水洗を受けた時点で排泄おしまい。こんな味気ないウンコを出したいわけじゃない!もっと「排泄」を生きたい、「排泄」に人間を取り戻したいんです。フタを開けるのも水を流すのも大した手間じゃないんですから。


何でもかんでも便利を求めて、その先に人間が阻害されることがあっては本末転倒。排泄はルーチンでも余分な作業でもなく人生についてまわる、だからこそ睡眠や食事や性と同じように、その瞬間を「生きる」ことがもとめられる営みです。公衆トイレからの疎外、なんとか改善していただけないでしょうか。

今年の音楽

3時間くらいかけて書いたのが全部とんだ。うぎゃー。順位だけアップ…。くやしいです!
→現在コツコツ書き直し中です。

アルバム

20:「Gloomy」毛皮のマリーズ

Gloomy

Gloomy

馬鹿ロック2009代表。RIJで見たライブもすごく良かった。


19:「The Blue Print3」Jay-z

ブループリント3

ブループリント3

すいません、初めてJay-z聞きました。かっこよかったです。


18:「Hambag」Arctic Monkeys

ハムバグ

ハムバグ

重くなった!爆発力は陰を潜めたけれど、その分オトナな感じが出て良かったんじゃないでしょうか。


17:「Exile On Main Beach」Soul Flower Union

Exile On Main Beach

Exile On Main Beach

このベスト盤は買いです。ここ10年のソウルフラワーの概要が見えてくる!10年前に出た超名ライブ盤「High Tide and Moonlight Bash」を買えば完璧。


16:「ハピネス!」曽我部恵一BAND

ハピネス!

ハピネス!

1枚目の方が好きだった!1枚目路線と2枚目路線のあいだに産み落とされた「ほし」の超絶名曲ぶりがすごいです。


14:「Necessary Evil」The Mirraz
14:「DANCE FLOOR MONSTERS」The Telephones

DANCE FLOOR MONSTERS

DANCE FLOOR MONSTERS

NECESSARY EVIL

NECESSARY EVIL

この2バンドは勢いあったなー。雑誌やライブでの発言からするに両バンドのフロントマンの、抽象思考への親和性がかなり低めなようで、だからこその肉体的な音がちゃんと鳴ってるから説得力があると思う。


13:「おうちはどこ?」世武裕子

おうちはどこ?

おうちはどこ?

これはビックリ!ものすごく良かった。音のひとつひとつから見事にやわらかい情景が浮かんでいく。


12:「STRAWBERRIES AND CREAM」カジヒデキ

STRAWBERRIES AND CREAM

STRAWBERRIES AND CREAM

カジヒデキを引き受けたカジヒデキが送るカジヒデキ・テイスト満点のカジヒデキな1枚!甘くてポップでアルバムタイトルがこてこてで。すてきだ。


11:「Declaration of Dependence」Kings Of Convenience

デクラレーション・オブ・ディペンデンス

デクラレーション・オブ・ディペンデンス

twitter経由で知ったという今年らしい1枚。延々にリピートしたくなるオーガニック・サウンド。


10:「Tonight」Franz Ferdinand

トゥナイト

トゥナイト

フランツちゃんカッコいいアルバムをありがとう!フジロックで知らない人たちと乾杯しまくりました。


9:「Nouns」No Age

ノウンズ

ノウンズ

アメリカのインディー・ロックムーブメントに全く乗れなかった。girlsにもanimal collectiveにもうまくハマれず部屋の隅でいじけていた2009年だったけど、これはバッチリ。その後出たepも最高!Grizzly Bearも良かったです。


8:「Family」Think About Life

ファミリー

ファミリー

年の瀬に購入し一気に愛聴盤に。Junior Seniorを思い起こさせる多幸的な美メロにノックアウト。


7:「Girl! Girl! Girl!」Crazy Ken Band

ガール!ガール!ガール!(初回限定盤)(DVD付)

ガール!ガール!ガール!(初回限定盤)(DVD付)

これは夏にどんハマりした。全曲最高にポップでアダルトな暮れゆく夏のアルバム。彼女とお別れしたムードが丁度マッチしていたんだと思う。夏が終わってみればさっぱり聞く気がわかないあたりが、まさに名盤のあかしと言えよう。


6:「Thank You For Being My Friend」「New OrderCurly Giraffe

Thank You For Being A Friend

Thank You For Being A Friend

New Order

New Order

カーリージラフは2枚ともよかった!女性ヴォーカルを交えてのコラボ盤(前者)は特に、バンド演奏が有機的で豊かなグルーブにあふれていて、ぐいぐい引き込まれる。歴史には残らなくても生活をいろどる、そんなタイプの音楽。ありがとう!


5:「This Is My Shit」80kidz

THIS IS MY SHIT

THIS IS MY SHIT

エイティーさん好きです。荒削りな1枚目、って感じはあるがこれからもっと良くなりそう。


4:「Wolfgang Amadeus PhoenixPhoenix

ヴォルフガング・アマデウス・フェニックス

ヴォルフガング・アマデウス・フェニックス

ねらいすまされた空虚さにメロメロです。


3:「Scars」「Zephyr」Basement Jaxx

スカーズ

スカーズ

  • アーティスト: ベースメント・ジャックス,パロマ・フェイス,リサ・ケカウラ,ホセ・ヘンドリックス・ンデロ,ホセ・ジェームス,リル・ルイス,サム・スパロー,ケリス,イーライ・ペーパーボーイ・リード
  • 出版社/メーカー: ホステス
  • 発売日: 2009/09/30
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Zephyr

Zephyr

basement jaxxはフルアルバムがすばらしく、その後出したepは全く系統が違うながら実に面白く、さらにフジロックが最高過ぎた。堂々のオブザイヤー。


2:「ハイファイ新書」相対性理論

ハイファイ新書

ハイファイ新書

2枚目でぐっと良くなったと思う。1枚目はやりたいことの勢いが前面に出ていたのが、2枚目で「表現」になったようなイメージライブがまた面白くて、神経症的な抑圧を2重3重に張り巡らせる作為がときどき破綻しちゃうスリルがすごくいやらしかった。


1:「Manners」Passion Pit

!マナー(期間生産限定盤)

!マナー(期間生産限定盤)

これはもう私のどツボなんですな!甘くてキラキラしてて、それをメタ視点から再帰的にみつめる視点があって、なおかつどこかカッコ悪くて、つまりは「不細工による渋谷系」が大好き!

楽曲

次「シャツを洗えば」くるりユーミン


次「Out of Blue」


次「あなたにだけは」清竜人


次「サイケな恋人」Mow Mow Lulu Gaban


25「End of the World」Girls

日本版の最後に入ってる「End of the World」のカバーが良かったんだけど見当たらない。「Hellhole Ratrace」です。


24「ケンタウルスの海」ムーンライダーズ
さすがに動画みつからない!


23「流行」椎名林檎


22「necoがニャ〜て、犬がワンッ!」neco眠る


21「ワンルーム・ディスコPerfume


20「Water On」Curly Giraffe feat. Akino Arai

コラボのやつがなかったので、ソロで。



19「Poker Face」Lady Gaga


18「Crying Lightning」Arctic Monkeys


17「Ulysses」Franz Ferdinand


16「Today's Tonight」Jack Peñate


15「さわやか会社員」相対性理論

「さわやか会社員」がみつからないので「地獄先生」です。


14「Dominos」The Big Pink


13「恋をこえろ」毛皮のマリーズ


12「This is my Sxxt」80kidz


11「Losing Feeling」No Age


10「Lisztomania」Phoenix


9「旅のはじまり」世武裕子

「旅のはじまり」が見つからなかったので「泳ぐ」という曲です。


8「Balletproof」La Roux


7「Passion Fruits」カジヒデキ


6「ガールフレンド」Crazy Ken Band


5「Havin' my Baby」Think About Life


4「ほし」曽我部恵一BAND


3「Raindrops」Basement Jaxx


2「Sleepy Head」Passion Pit


1「Rollin' Rollin'」七尾旅人xやけのはら