冬の夜の夢

Royal Shakespeare Companyの「夏の夜の夢」を見てきた。めちゃくちゃよかった。単純に笑えて会場は笑い声に包まれていた。もちろんそれだけじゃなくて、「喜劇」の枠に収まらない素敵なサムシングがたくさん詰まっている舞台だった。400年以上も前に今見て「面白い」っていうレベルの笑いを生み出せるシェイクスピアってすごいなあと、結構素直に感心してしまった。最後の、みんな揃っての舞踏シーンは思わず涙ぐんでしまった。幸せの幸せさが幸せな形で表されていた。この所結構色々な舞台を見ているけど、「王道」中の「王道」なこの舞台が何だかんだで一番好きかも。シンプルだし筋書きはめちゃくちゃだけど、全部が詰まってる気がした。途中寝たけど、まあ「夏の夜の夢」ってタイトルだし許してもらえるだろう。


ヘレナのセリフかっこよかった。ヘレナの愛する男デメトリアスが「君を愛していないし、愛することもできない」って言ったときの返事。新潮文庫から抜粋。


「そう、だから、いっそう好きになるの。デメトリアス、あたしはあなたのスパニエル犬、ぶたれればぶたれるほど、尾をふってまつわりつくの。ええ、あなたのスパニエル犬にしていただくわ。蹴ってちょうだい、ぶってちょうだい、知らん顔をしようと、忘れてしまおうと構わない。ただ、許していただきたいの、なんの値うちもない女だけれど、せめておそばにだけは居させて。あなたのお心のうちに、それより小さな場所を求めることが出来るかしら?ーあたしには、それだけで、もう十分立派な地位だけれどー飼犬なみに扱ってくれと言っているのだから」


いやー、かっこいいとは思いませんかみなさん!着てはもらえぬセーターを涙こらえて編んでます的な、400年前にして既に津軽海峡冬景色の世界。女心の未練です。とか適当なこと言いながらも、一つ確かなことがあって、それは、上のセリフかっこいいとか言ってる奴は全員ドMってことだな。16世紀末にはもうMの精神性の萌芽があったと。以上、ファイナルアンサーでお願いします。