ぬくもり

寒い。いくらなんでも寒いよ今日は。死ぬ、このままじゃ凍死する…。病院実習を終え北風小僧に芯まで冷やされながら帰宅、凍える思いでホットカーペットをつけるとどうだ。うーん、ぬくい。寒さは一転めちゃめちゃぬくいよ今日は。ああー最高だな電気ってやつは…。
あまりのぬくぬく感に何も生産的なことをする気が起きない、もう何もいらないからこのままホットカーペットと同化してしまいたい。と思うも束の間、やはり人間満たされると欲が出るものらしく、一歩も動かずもっとぽかぽかするために何かできないかにゃー(←語尾がとろけ始めている)と足の親指人差し指で付近のクッションや上着をにじり寄せさらにごろごろ。努力の甲斐あって徐々に体も温まり、ゆるゆるとまどろむ意識の中で温州みかん。考えてみると温州みかんってすげー暖かそうな言葉だよなあ。みかんはおこたを連想させるし漢字の「温」がそのままあったかくて「うんしゅう」って音もどことなくほんわかしてるじゃない。うん、究極の言葉だな温州みかん。一字違いの温室みかんには逆立ちしても出せないぬくぬく感だ、愛してるよ温州みかん満州事変とどこか似てるよ温州みかん


などと思いながら小一時間ほどうたた寝に入るとどうだ、バカ正直に温州みかんの夢を見ている自分がいるではないか。どれだけ単純なんだ俺の頭!
それはただ温州みかんをなで続けるだけのシンプルかつナンセンスな内容で、しかし僕はそれがもう幸せで仕方ないのだった。温州みかんと他のみかんの区別はつかないので正確に言えば「何かしらのみかんの夢を見た」ということになるが、あれは間違いなく温州だった。なんだか暖かかくて、あのみかんには「温州感」があった。
それにしても分かりやすすぎるかつ不可解すぎるぞ俺の頭。みかんがメインテーマの夢を見たのも、みかんをなでたのも産まれて初めてな気がする。