闊歩

ヒールにダメージを与えぬようもしくは先端が傷つかぬようという配慮なのか、はたまた単に歩きにくいだけなのか、階段を上るときに足の後ろ半分を階段からはみ出させて歩く女の人。ヒール部分が常に宙に浮いている状態。足先だけで自身を支える、サスケで言えば「クリフハンガー」の足版みたいなことになっているあれ。
僕はあれが何となく好きで、それはなぜかと考えてみるに「かっこつけ」「浮世離れ」精神の徹底してなさがすごくチャーミングだからではないかと思う。高めのヒールを履き服もそれなりに着飾ってメイクもばっちり。そんな「キメて」いる人が「階段くらいはキメを崩してもいいだろう」「別に今は誰が見てるわけでもないし」「靴が傷ついちゃう/ダメになっちゃうかもしれないし」と思わず「油断」「妥協」しながら階段を上っている感じ。まあ油断だ妥協だと僕の勝手なストーリーを押しつけて申し訳ないけれど、それにしても何だか好きだ、都会で見かける足サスケ。(女の人だからクノイチか)


それはせっかくのキメに対する「雑音」であって、そうであるからこそそこには同時に溢れんばかりの「人間味」が宿っているように思え、すごく好感が持てる。いやまあ、見ず知らずの男に好感をもたれても仕方ない上にいちいちそんなことを考えて階段を上る人がいたらかえって気持ち悪いけれど。
靴のサイズが微妙に大きい場合なんてのもいい。一段ごとに「踵が脱げてはまたハマって」が繰り返されて、なんだかカッポカッポしてる状態。上から下まで全身キメキメの人がそんなことになってたらもう大変、全日本カッポカッポ学会に報告の勢いだ。思わず写メって誤認逮捕だ。


というわけで靴をみている気持ち悪い男も世の中にはいることがご理解いただけたと思うので、ここは一つ女子のみなさん、階段を歩くときはスカートを覆ったりしてないで靴を隠すべきです。危険ですから。スカートはそのままノータッチでひらひらさせると良いと思います。鞄でカバーするのなんて以ての外です。