冷凍都市の暮らし あいつ姿くらまし

二週間前に病院実習が終わり、さらに今日をもって医学部の講義も終了、あとは卒業試験を残すのみとなった。お世辞にもまじめとは言えない、いや不真面目極まりない大学生活ではあったもののやはり僕も人の子。本郷キャンパスで四年間という決して短くはない時間を過ごしてきた身として「授業が終わる日」にはなかなかどうしてある種の感慨が宿るものらしく、この二週間一度も授業に出席しなかった身でありながら気がつけばキャンパスに足を運んでいた。色づき始めたイチョウ、晴れ渡った空、煉瓦造りに苔むす建築物。


というわけで授業最終日を授業にも出ずに駒場キャンパスで過ごしたわけだけれど、まさに駒場祭(学祭)まっさかりの彼の地はとにかく騒々しかった。よくもまあ、あれだけ若々しくフェスティバれるものだとおじさんはシャッポを脱ぐばかりだ。他大から来たテニサー1年生とおぼしき女の子からチケット買いませんか?なんて話しかけられるともう、緊張を通り越して嘔吐しそうになるからな。まっすぐな目で見つめられて心の自由がきかないの by capsule。ああ、年をとった。
あつあつのおでんいかがですか〜、心まで温まりますよ〜。一昔前なら「学祭は笑点じゃねえ!」「お前の売り文句が一番冷えるわ!」と憤りのあまり店舗に練り辛子をぶちまけていたであろう僕も今ではすっかり好々爺。お嬢ちゃん上手いこと言うもんだねえと、気がつけばあわやおでんを買おうとしている始末だ。恋をするって言うのとはちょっと違うけどわりとドキドキした by capsule。ああ、年をとった。そしておでんじゃさすがに恋どころかドキドキはしなかった。


サークルの後輩ヨッシーから情報をゲットしそそくさと向かった向井秀徳ワンマン・ステージは心から素晴らしすぎた。ボブディランかと思った。タダであんなもん見られるとはなんてすばらしい催しなんだ、菊地成孔クイケンも漁港もkiiiiiiiも、ラブかなさん毎年最高のステージをありがとう。やっぱ授業でなくてよかったー。繰り返される諸行無常、蘇る性的衝動!