ドトールの怪

眠い。いくら寝ても眠い。冬季うつ病と見紛わんばかりに眠い。食欲が異常に旺盛でついドトールバウムクーヘンなどをつまんでしまうこともこの診断に支持的だ。この眠さをエネルギーに変換できたなら、まさに文字通り眠さで舟をこげるのではないか。それくらいに眠い。昨日も今日もがっつり8時間寝ているのに昼間はただひたすらに眠く、ドトールでカフェ・オ・レなんて飲みながらポカーとしていると、ではなくて必死の形相で教科書を紐解き耳鼻科の理解を深めていると、ふとした瞬間にガクンと眠りに落ちてしまっていたりする。ひょっとしたら睡眠時無呼吸症候群かもしれない。僕に見られる肥満所見もこの診断に極めて支持的だ。


何だか現実感がなく、ふと気がつけばずいぶんと教科書のページが進んでいるのに、その内容が何一つ頭に残っていなかったりする。何やら眠そうな時の自分と似た文字でとられたメモ書きが残されてはいるが、そのようなメモをとった記憶はない。わずかにその走り書きを見たことのあるような、いややはりないような、そんな軽い既視感をおぼえるだけだ。しかもバウムクーヘンがいつの間にかなくなっており、何も食べた覚えがないのに空腹感も軽減されている。バウムクーヘンはどこへ?!いつの間に満腹感?!自分が恐い。解離性障害かもしれない。


いやいや解離とかそんなわけないから。あー俺きっと疲れてるんだな、甘いものでも食べて気を休めよ、休憩休憩。とレジへ向かいおもむろにバウムクーヘンを注文。そして振り出しに戻る。