女子高生は西友の夢を見る

言っても文京区、都心の名に恥じぬそれなりの都会で4年半を暮らした私だ。そこいらの中学生が下校の道すがらスタバで談笑するような、高校生ともなれば昼飯のことをランチと言い出すようなハイソ空間で寝起きをする中、いっぱしのシティ・ボウイがいやでも体に染み込んでいる。本郷に出会い、その名も君をコイシカワ、文京暮らしとはつまりそういうことだ。何せ靴屋の名前が「マルセイユ靴店」。店名ひとつが気品にあふれ過ぎている。


私の新居は古代裸(仮名)という都市にある。のどか、と言っても良いだろうか、街にながれる気取らないふんいきがとても居心地よく、シティ・ボウイ!などとカタヒジ貼って凝り固まっていた尊大な私の心のコリをやさしく溶かす。
西友である。せいゆう。西友。You say セイユー。マルセイユではなくて、西友。言わずと知れたショッピングセンターであり、また新たな生活拠点における最重要ショップだ。今日も買い物を終え2階からの階段をくだるとどうだろう、談笑している。女子高生が踊り場に座り込みペットボトルを片手に何やらダベっている。スタバはおろかマックですら生ぬるい、あたしたちのサロンは西友の踊り場!たからかに謳いあげられた歓喜と節約のファンファーレが耳に鳴り響く。気取らないふんいきマンマン。これぞ小平といった感がある。
松屋の店員さんが松屋シャツ(「MATSUYA」のあしらわれた黄色い派手なシャツ)の上にさっそうとジャケットを羽織り「お疲れ様でしたぁー」とあがっていく。ちょっとオシャレにすら見える。


古代裸は良い街です。