Vietnam 1

Ho Chi Minhシティを散策する。おきまりの観光コースを周遊しながら、とにかく歩きまくった。戦争証跡博物館の衝撃は筆舌に尽くしがたいものがあった。


ベトナムという国について、みなさんはどれほどご存知だろうか?ベトナムに一番多い職業は大学生、次いでOL、次点に主婦だ。これで全人口の9割が占められている。ホテルでひとり朝食をとりつつ食堂の隅々まで入念なリサーチを行ったのだから間違いない。
日本では大学生といえば1限にも出ず朝寝坊、外に出るのも面倒だけれどサークルとバイトがあるから…と昼頃にもごもご起き出してくる嘆かわしい生き物と相場の決まっているものだがさすがはベトナム。親の世代が勝ち取った自由のおもみを肌で知っているからか、社会主義の精神がそうさせるのか、大学生たちは7時過ぎには起床し整容の上で朝食に姿を現す。今日という1日に備え行動のスケジューリングも完璧、日本語も驚くほどに、まるで日本人かと聞きまごうほどに流暢だ。関西弁を声高に喋り倒す、やや空気を読めないタイプの日本かぶれ大学生もいるにはいるが、ベトナムで生まれながら苦労して関西弁を身につけたのだから少々声を張りたくもなるだろう。
OLはクロワッサンを食べながら今日のエステとアオザイの話、主婦は「やーんこれタイ米じゃない?」と言っている。大学生たちは向学心と日出る国への好奇心にあふれ、ベトナム語を一切使わず驚くほどに日本語ばかりをしゃべっている。ホテルのビュッフェ中が日本語を使っている。まるで日本に来たかのような錯覚すらおぼえる朝食の光景だ。


私はといえば屋台や道ばたで目についたものをとにかく食べまくった。5,000kcalはゆうに食べただろうか。ビールもひたすら飲み続け、それほど値は張らないけれど地元にしてみたらまあそこそこ高いレストランにも入ったし、それこそ胃袋がはちきれるくらいに詰め込んだのだが、それでも全部で3000円くらいしかかからなかった。何と良心的な国。安すぎる。
魚介や肉類、孵化する直前のたまご(ホビロン)、各種やさいやくだものなど様々な食材・料理を試したけれど、こじゃれたレストランのご飯も悪くなかったけれど、屋台街で現地の人がいっぱい入っている店のご飯が圧倒的に一番美味い。屋台で2.5人前くらいのメニューを頼んでがぶがぶビールを飲んだとして1食1000円ちょっとだ。何と良心的な国。安すぎる。



この国の貨幣は「ドン」といい、10,000ドン=75円程度の換算になる。値札に普通に「240,000ドン」などと書いてあるので、初めのうちは「円にしたら換算」に少々とまどう。240,000ドンを前にして「まあ2000円しないくらいかー」とパッとはなかなか浮かばない。このとまどいを利用して現地に不慣れな観光客から会計をちょろまかすというぼったくりがこの国では横行している。まあ定価なんてそもそもあってないようなもの、彼らの生きる知恵でもあるし何だかんだでこっちの方が圧倒的に多くお金をもっているのだから、そういったぼったくりのひとつやふたつ、気付いていないふりをして(もしくは本気でだまされて)旅行をしていれば良いだろう。


統一会堂4Fの売店でのこと、たしか12,000ドンと表示されたタイガービール。1本いただこうと100,000ドン紙幣を売り子のおばちゃんに差し出すと、彼女は横に首を振る。え、足りないの?おばちゃん、首を縦に振る。おかしいな…と怪訝な表情でこちらがとまどっていると山が動いた。おもむろに私のサイフを漁り500,000ドンを1枚ピックアップ、そして納得の表情で38,000ドンを返してくるおばちゃん。
100,000ドンで首を横に振ることで「あれ、やっぱまた俺ひと桁間違えてる??ドンの感覚ってよく分からないしな…」と思わせた所で500,000ドンをひったくり、それを「50,000ドンだった風情」で受け取って50,000-12,000=38,000ドンのお釣りを返す。お客さんは「ああー、何だかよくわかんないけれどこれでいいっぽいぞ」てな感じになってセンキューだとかカモン(ベトナム語のありがとう)など感謝を述べて場を後にする。という算段だろうか。相当に巧妙な真理トリックと言わざるをえない。結局ビールが1本46万ドン(3200円くらい)という計算だ。
何とバカげた国。高すぎる。


いやいやおばちゃん、ビール1本46万ドンは僕には高い。ぼったくりするのは良いけどそれを許すかどうかはこっちが決めることだから…とがぜん勢いづいて抗議したらしぶしぶお金を返してくれた。ぼったくりもまあ良いじゃない、などと言いながら結局は3000円を取り返そうとする自分の小ささを身に染みて感じた。


【写真】
街じゅうがホー・チ・ミンだらけ。マジで。



蒸した芋とジャムのチマキを売っていたおじさん。1つ5円くらい。ぼったくりをしないナイスなおじさんでした。


ココナツをバシッと切った丸ごとジュースを500円で売ってきたおばさん。ぼったくりしまくりのナイスなおばさんでした。