Vietnam 2/Cambodia 1

クチトンネル。ベトナム戦争の要所にして、南ベトナム民族解放戦線の拠点。全長250kmにもわたる地下トンネルの中には居住区があり食堂があり下水施設があり医療ブースがあり各地への抜け穴があった。深いくらやみと差す光。トンネルを30mくぐるだけでシャツは、当日の猛暑もあったけれど、ベトナム兵士への畏敬とトンネルの放つ言いしれぬ恐怖でまたたく間に汗まみれになった。くぐる直前に飲んだライスワインの酔いも手伝ったのだろうか。
「ライスワイン」なる名前がつけられてはいるがその正体は餅米から作った蒸留酒、味わいは大雑把に言って泡盛に似ており、度数はーー35°ほどだろうかーーそれなりに高い。酷暑の中で蒸したタロイモをつまみにぎゅっと一杯、いっときの涼が体に訪れ実に心地よい。ベトナムコミュニストも同じ酒でかわきを癒し活力をみなぎらせたのかと思うと自然に背筋が伸びる。


午後は飛行機でアンコールワットの眠るかの国へ。ベトナムはタンソンニャット空港からカンボジアはシェム・リアップ空港まではわずか1時間のフライト。竣工したての空港なのだろう、タンソンニャットはおそろしい程に清潔感だ。成田空港なんて目じゃないほど、とにかくキレイ。

今後ベトナムへの渡航を考えている方がいらっしゃるならぜひご注意いただきたい。この空港、怖ろしいほどに何もない。免税店がちょぼちょぼに売店が1店舗、ご飯を食べさせる場所はベトナム風ファーストフード店(ホーチミン市内の5倍の値段がし、25倍食べがいがない)となぜか寿司屋のみ。一応私も日本人のはしくれ、ベトナムで寿司を食べるエキゾ趣味は持ち合わせていない。仕方なく、出航までの2時間をひたすらライスワインを飲んで過ごす。やはり背筋の伸びる思いだ。
ちなみに、空港はこれからぞくぞくとショップオープンらしい。


カンボジアに入国するにはビザ発行に20$(アメリカドル)を払わなくてはならない。かなりの割合の観光客がアンコール・ワットを目指すが入場には1日20$かかり(3日パスで40$)、出国時には出国税25$が徴収される。つまり観光客1人からデフォルトで60$〜80$を巻き上げるシステムが確立されている(カンボジアの物価で言えば日本の10倍くらいの金額になる感覚)。だのになぜ、どうにもアンコールワット遺跡群はボロい。加えて遺跡の修復を行っているのも日本やフランスのODA/NGOだと聞く。道行く子供たちの貧困の様子はベトナムより一段上だ。私たちから巻き上げたマネーはどこに消えているのだろうか。
と言いながらもジャパンマネーでそれなりっぽいホテルへ宿泊する私。ホテルの廊下にはイカした道祖神が奉られていた。

他のオブジェは一切セクシャルでないのに、この像だけが見事にそそり立ち屹立。東南アジアでダースベイダーをみつけた。リンガ(ヒンドゥー教で崇拝される、男性器の象徴)にしても「模し過ぎて」いる。背筋の伸びる思いがした。


【写真】
クチトンネルの小屋。立っているだけで激烈に暑い。



カンボジアの国花。

すいません嘘つきました。道ばたに咲いてました。