血中濃度

どうやら新しい病棟の看護師さんたちはEXILEがお好きらしい。病棟バーベキュー会がアル中の聖地たけのこ公園(仮名)にて行われ、2次会に選ばれた場所は研修医寮の駐車場(野外)だった。コンクリートの上にござを敷き、夏を満喫した。ゴミ捨て場が近いという立地条件にも恵まれゴキブリも散見された。そしてどうやらみなさんEXILEがお好きらしい。


7月までお世話になっていた病棟ではやたらとケツメイシの名前を聞いた。ケツメイシとか聞かないんですか?ケツメイシって2tトラックに何個入るんですか?振り返るに、病棟をいろどる会話の8割はとかくケツメイシがらみだったように思う。これっくらいのお弁当箱におにぎりケツメイシちょっとつめて。なんて鼻唄もよく聞こえていた。ような気がする。


医学の奥深さに感じ入り机にかじりつくばかりの大学生活を送った私は、それはそれで有意義であったと自負してはいるもののEXILEケツメイシについてあまりにもの知らずであり、今になってその無知を恥じるばかりの毎日だ。彼らについての情報など何一つもっていない。しかも医学書と思って読んでいた書物のほとんどはどこでどう間違えたのかジャンプコミックスだった。残ったのは机についた歯形ばかり。なんと悔いの残る学生時代だろうか。



ただそんな私でもわかることはある。それはEXILEの方がケツメイシより幾分か、いやかなり、ヤンキー血中濃度が高いということだ。詳しくは知らないがケツメイシ漢方薬の原料の名前だと聞く。それに比べEXILEは「放浪者」の意味、つまり現代風に言うところの「ヤンキー」にあたるだろう。これっくらいのお弁当箱に、ケツメイシならなんとか入りそうだけれどEXILEは収まりそうにない。写真を見るだけでなんだか怖い。髪の毛の剃り込みからは「ウサギさんリンゴ」的なニュアンスも出ており食欲をそそる面も多々あるのだが、ゴージャスなサングラスがどうにも蓋からはみ出しそうだ。


ファン層も血中ヤンキー濃度に応じて異なるのだろうか。だってコンクリの上にござ敷いて2次会やるんだもの。コンビニの前でたむろ→駐車場にゴザの流れになんら不自然なところはない。とまれ、どちらが良い悪いではなくて、病棟によってはたらく人のカラーはずいぶんと違うものだ。ヤンキー濃度などと言って、叱られないことを祈るばかりだ。
今までの生活で「EXILEもしくはケツメイシのファン」に会ったことがなく、一体どこで売れてるんだろう?と純粋な疑問すらおぼえていたのだけれど、いるわいるわ。妥協せずに勉強しなくてはいけないが、EXILEなんて何から聞いて良いかもわからない。