married

とうぜん私の式ではない。同級生のutchyが大学生活への幕と同時に結婚をした。籍を入れた。前歯を抜いた。春が来た。
めちゃくちゃに楽しい一日だった。しあわせが白無垢やウェディングドレスの形をして新婦に色を添え、周囲に幸福をふりまいていた。新郎のスピーチは胸にせまるものがあり、まさかutchyに泣かされるとは、と思った数時間後に彼はトイレでたくさん何かを戻していた。おそらく、めでたさを摂取しすぎて身体許容量を超えたのだろう。
周りのみんなの「良い式を、披露宴を、二次会を作ってふたりを祝福しよう」という気持ちがピンと、しかしやわらかく張りつめ大きな一体感が生まれていたように感じた。こういうの、いいな。utchy、マリさんおめでとう。


個人的なことだけれど「披露宴の司会」なる恐れ多すぎる係をやらせてもらった。他のお仕事に比べて圧倒的に作業量が少ないと思われる役柄だ。それでも私には過ぎた大役だった。拙いなりに全力でつとめたつもりだが、それにしても緊張がほとばしり、なにやら心に余裕なく会場をうろうろし場を乱すばかり。挙げ句の果てには時間が足りず供された食事を何割か残してしまった。デブキャラとしてのアイデンティティを揺るがせにする大事件だ。ふたりを祝うきもちだけは何とか伝わってくれればと思う。
イマイチなジョークに同級生が笑ってくれて救われた。お前ら日頃はあんなに流してばっかりなのによ!と思った。司会のもう一方が完璧な進行表を作ってきてくれていて助かった。私一人では新婦と神父の区別すら付かなかっただろう。神前結婚式だったので神父はいなかったが。それと、となりに座った、新婦の親戚にあたる方からあれこれと司会のアドバイスをいただいた(とりあえず酔えばいい、など)。みなさん本当にありがとう。
緊張もしたけれどとにかく面白かったな。これから結婚のみなさん、司会いつでもやりますよ!


まあ自分のことなんてどうでもよくて、やはり主役ふたりの放つ幸福という名のパワーだ。100人からの周囲の人間に終始笑顔をもたらす魔法だ。最初から最後まで、てっぺんからつま先までとてもしあわせな気分になれた。ふたりを見ているだけであたたかな夢の中にいるようだった。こういう魔法ならいつまでも解けなければいいと思い、願った。
utchy、マリさんおめでとう。ずっとずっとお幸せに。