Smells like over-teen spirit

どうしよう似ている。どう考えても似ている。いや、これは認めざるを得ないだろう、似ているどころか同じだ。一緒だ。
しばらく使った歯ブラシのにおいが父親のそれと瓜二つなのだ。思えば小中学生の頃、ぼんやりのあまり父親の歯ブラシを使ってしまった時の、うわクサっ!それが今文字通り目と鼻の先にある。残念のにおいがするとでも言おうか、朝起きて一番の歯みがきの夢うつつは歯ブラシを口元に運ぼうとするや跡形もなく吹き飛び、僕の意識は嗅ぎ慣れたそして少しも好ましくないにおいによって強引なまでに現実へ引き戻される。うっわこのにおいヤバ!
親父のオヤジ臭を遺伝、全くもって泣くに泣けない話である。


においだけならまだしも、頭の中。なんてアホなんだどれだけ頭悪い考え方するんだこいつは、と思っていた父親と年をとるにつけものの考え方が思わずぐっと来るほど似てきていることも見逃せない。理屈の重ね方、良い悪いの判断、あるだけ使っってしまう金銭感覚のだらしなさ、酔ったときのグダグダ感。心の底から見逃したいところなのだが、さすがに看過できぬレベルで似通い始めている。さらに言えば選択した職業まで同じだ。もう何なんだ、俺はクローンかと言いたい。冷凍保存されていた双子かと言いたい。顔が似ていないのは死中に見出した唯一の救いと思いたいところなのだが、それはそれで思わずぐっと来るほど母親に似ているらしく田舎へ帰ると一瞬で母の子だとバレる。ううむ。


げに恐ろしきは遺伝の力、環境の矯正力。街中であまりに似ている親子を見ると、友人の親のしゃべり方が友人のそれと同じだったりするとその遺伝パワー/環境パワーに思わず笑ってしまうことがある(特に父親×娘、母親×息子が笑える度が大きいから大好き)のだが考えてみれば対岸の火事でも何でもなく自分の背中が燃えまくってるという。他人が見たら自分が思うよりさらに似ているんだろうな…。


とりあえず明日新しい歯ブラシを買いに行こうと思う。